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無機固体化学






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書籍情報
本書は,2019年に出版した「無機固体化学 構造論・物性論」の姉妹書として執筆した.前著と同様に,著者らが京都大学理学部化学教室や,同志社大学理工学部機能分子・生命化学科で2,3回生向けに行った講義ノートを基にしている.したがって,基礎的な化学の学習を一通り終えた学部学生を念頭に,より専門的な物性化学,固体化学について,初学者が学習するための手引きとなる内容を読者にわかりやすく,というコンセプトは前著と同じである.ただし,「構造論・物性論」では磁性やバンド理論などを学ぶ上で重要な,量子論的な展開についてはほとんど触れられなかったので,本書ではそれらを中心に,「量子論・電子論」としてまとめたものである.〔まえがきより〕
無機固体化学
量子論・電子論
A5/304頁 定価(本体4000円+税) 978-4-7536-3502-3
吉村一良(工学博士)/加藤将樹(博士(理学)) 著
まえがき 著者略歴

目 次
第1章 ボーア模型と量子論:量子力学・量子化学の誕生
1.1 量子論と物質波
1.2 原子模型と水素原子のスペクトル:ボーア模型
1.3 ボーア模型と電子のボーア磁子
1.4 ボーア条件(仮説)を用いたマクロに現れた量子系の例(超伝導での磁束量子)
1.5 電子の満たすべき波動方程式:シュレディンガー方程式
1.6 シュレディンガー方程式を用いた簡単な金属電子論
1.7 ハイゼンベルグの行列表示による量子力学と不確定性原理

第2章 水素様原子モデルと角運動量の量子力学の基礎
2.1 一般的なボーア模型(水素様原子):中心力場でのシュレディンガー方程式
2.2 角運動量の定義:極座標表示
2.3 中心力場でのシュレディンガー方程式の解法:極座標表示と変数分離
2.4 角運動量の公式(量子力学的考察)
2.5 ゼーマン効果とスピン角運動量
2.6 スピン・軌道相互作用
2.7 フントの第一,第二,第三規則:角運動量の合成
2.8 フント結合と項記号
2.9 多電子系における角運動量の合成:スレーターの方法による角運動量の合成

第3章 錯体のモデルと結晶場・配位子場
3.1 3d軌道の概要
3.2 錯体のモデル
3.3 正八面体型結晶場による軌道の分裂
3.4 正八面体型結晶場におけるd軌道の状態
3.5 正八面体型結晶場からの歪み
3.6 正四面体型結晶場

第4章 結晶場の安定化と電子状態
4.1 結晶場安定化エネルギー
4.2 複数d電子の状態と高スピン・低スピン状態
4.3 軌道角運動量の消失
4.4 分光学的序列
4.5 ヤーン-テラー効果

第5章 結晶場に基づく遷移金属化合物の光学的性質と構造
5.1 d-d遷移とスピン禁制則
5.2 複数電子を持つ金属イオンの光吸収スペクトル
5.3 電荷移動遷移
5.4 レーザー発振について
5.5 構造および熱化学的関係

第6章 角運動量の量子論
6.1 量子論の基礎的事項
6.2 量子論における角運動量
6.3 ディラックの記号(ブラケット表示)
6.4 一般の角運動量と昇降演算子
6.5 電子スピンについて
6.6 角運動量の合成

第7章 ハートリー−フォックのSCF法とスレーター軌道
7.1 ハートリー−フォックのSCF法
7.2 電子配置のエネルギーと交換相互作用
7.3 角運動量L, Sによる状態の分類
7.4 電子の配列とLS項
7.5 スピン・軌道相互作用の効果

第8章 元素の周期性
8.1 多電子系原子での電子軌道のエネルギーレベル
8.2 有効核電荷(有効原子番号)と遮蔽効果
8.3 原子半径,イオン半径と有効核電荷
8.4 イオン化エネルギー(イオン化エンタルピー)
8.5 電子親和力((−)イオン化エンタルピー)
8.6 電気陰性度

第9章 金属電子論
9.1 金属とは何か?
9.2 自由電子モデル
9.3 周期的ポテンシャル(電子と格子の相互作用)
9.4 バンド電子

第10章 遍歴電子の磁性 ―集団電子モード―
10.1 物質の磁性
10.2 遍歴電子磁性(集団電子モード):ストーナーの平均場近似理論と遍歴電子磁性体
10.3 スピン揺らぎの理論

Appendix 1 量子統計:フェルミ粒子とボーズ粒子
Appendix 2 相対論的量子力学(ディラック方程式)
Appendix 3 周期表1(原子量,原子半径,電子配置)
       周期表2(イオン半径)





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