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磁性体の電気磁気相関


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書籍情報
【「はじめに」より】
磁性体の物性物理研究では,1986年の銅酸化物高温超伝導体の発見を契機として,電子同士の強い相関による非自明な電子状態の研究が,多く行われてきた.2000年代になってから,むしろ磁性体のよく定義された状態における対称性の破れやトポロジーを利用した新現象の研究が非常に活発に行われるようになった.本書の内容は,このような磁性体研究の新しい潮流に対応したものである.著者も,このような研究を精力的に行ってきた.本書により,著者のようなこの分野の研究者の肌感覚を学生や若い研究者に理解してもらいたいと思っている.そのため,必要な理論的知識を述べるだけでなく,著者の研究で扱った物質を中心に実例を可能な限り盛り込んだ.
物質・材料テキストシリーズ
磁性体の電気磁気相関
対称性とトポロジーの効果を中心に
A5/168頁 定価(本体3600円+税) 978-4-7536-2324-2
小野瀬佳文(博士(工学)) 著
まえがき 著者略歴

目 次
第1章 基礎知識:物質中の電磁気学および結晶・磁気対称性
 1.1 磁性体中の電気と磁気
 1.2 物質中の電磁気学
 1.3 物質の対称性

第2章 局在磁性
 2.1 磁気モーメント
  2.1.1 原子軌道
  2.1.2 遷移金属におけるd軌道
 2.2 強磁性相互作用と反強磁性相互作用
  2.2.1 ポテンシャル交換相互作用
  2.2.2 運動交換相互作用
 2.3 ジャロシンスキー―守谷相互作用
 2.4 二種類のらせん磁性

第3章 磁性誘電体中の電気磁気相関
 3.1 時間反転操作と磁気点群
 3.2 時間反転・空間反転対称性の破れと電気磁気効果
 3.3 逆ジャロシンスキー―守谷相互作用による磁気誘起強誘電性
 3.4 その他の磁気誘起強誘電機構:交換歪機構とスピン依存混成機構
  3.4.1 交換歪
  3.4.2 スピン依存混成機構

第4章 遍歴電子と遍歴磁性
 4.1 結晶中のブロッホ波とバンド構造
 4.2 バンド電子波束の運動方程式
 4.3 ボルツマン輸送方程式
 4.4 ストーナーモデルによる遍歴強磁性
 4.5 RKKY相互作用と二重交換相互作用
  4.5.1 RKKY相互作用
  4.5.2 二重交換相互作用とマンガン酸化物の超巨大磁気抵抗効果

第5章 磁気輸送現象とトポロジカル効果
 5.1 トポロジカル磁気構造スキルミオン格子
 5.2 トポロジカル磁気超構造におけるホール効果
 5.3 運動量空間のトポロジカル磁気構造によるホール効果
 5.4 強磁性体における異常ホール効果
 5.5 スピンホール効果,量子異常ホール効果,トポロジカル絶縁体

第6章 マグノン励起とトポロジカル効果・非相反性
 6.1 強磁性体のマグノン励起
 6.2 マグノン励起におけるトポロジカル効果・対称性の破れの効果
 6.3 反強磁性のマグノン励起
 6.4 反強磁性マグノンモードにおける動的電気磁気効果による電磁波の非相反性
 6.5 様々な非相反応答

第7章 電流誘起磁気トルクと磁気誘起起電力
 7.1 スピン移行トルク
 7.2 スピン起電力
 7.3 空間反転対称性が破れた物質におけるスピン角運動量ロッキング
 7.4 エデルシュタイン効果とスピン軌道トルク

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